鎮魂頌
愛する者を
守りぬくため
僕らは命を
投げ出せるだろうか
この手に握る
平和という名の
剣をかざして
戦うのだろうか
生まれくる前の我
それは今ここに眠る英霊か
真白き鳩が舞い降りるたび
さわぐ梢の間真晝の月
迷える小徑たどりついた地で
遠い兄のような聲を聞く
ああ君我の代わり生きよと
頭を垂れて
祈りつづける
老いし人の背に
ゆらいだ陽炎
終わりなき悲しみを
包み抱くのは誰が眼差しか
蟬時雨だけが降り注ぐ日の
まばゆい空の青さが染みる
さまよう心呼び戻した地に
優しい姉のような唄を聞く
ああ君死にたもうことなかれと
真白き鳩が飛び立ってゆく
翼の先の光に向かい
忘れることなき涙の川の
果てない流れを人は渡り
生きる果敢なさ生きる尊さを
巡る時のなか僕らは知る
迷える小徑たどりついた地で
遠い兄のような聲を聞く
ああ君よ己がため強くあれ