カガリビト
静まり返り 眠る街を駆けゆく
/ 万籁无声 驱驰於沉眠街道
吹き抜け踊る 風に乗り夜の淵(ふち)へ
/ 舞跃穿堂 乘风向夜之深渊
輝く月が その横顔を捉(とら)える
/ 闪耀月光 捕捉其侧颜
冷たく光る 左手(ひだりて)は何を掴む
/ 凛冽光亮 左手紧握何物
解(ほつ)れゆく世界の 欠片をひとひら
/ 渐渐瓦解世界的 一枚碎片
意思の火(ひ)を片手に かがり歩く
/ 单手握紧意识火焰蹒跚前行
終わりなど見えない 仕組(しく)みなのだから
/ 看不见终焉的 这种构造
問(と)う事は諦め 一つ一つ
/ 将好奇之事 逐渐放弃
すが糸途切(とぎ)れ 気付けば唯一(ゆいいつ)の針(はり)
/ 断开的细线 回过神只剩唯一的针
縋(すが)る事さえ 許されずに膝を折る
/ 甚至再无法穿入 跪下双膝
水面(みなも)に映る ツギハギだらけの身体
/ 水面映出了 满是补丁的身体
空蝉(うつせみ)に問う これは夢か幻か
/ 询问於空蝉 这究竟是梦是幻
くたびれては眠り 赤い夢を見る
/ 疲乏地入眠 梦入红色梦境
篝火(かがりび)は倒れて 空を焦がす
/ 篝火坍塌 薰染天空
急き立てられるように ゆらり歩き出す
/ 犹如被催促般 缓缓起步
孤独な太陽(ほし)の様に 繰り返して
/ 好似孤独的太阳般 辗转反复
music...
繋ぎ止める
/ 勉强维系
全ての火を
/ 一切火源
music...
澄み切った青空 岩陰(いわかげ)にもたれて
/ 清澈蓝天 倚靠岩阴
頬撫でゆく風は 「おやすみ」と呟いた
/ 拂面微风 轻语晚安
解(ほつ)れ 解れ
/ 瓦解 瓦解
欠片に戻る現世(うつしよ)の記憶は
/ 回归残片 尘世的记忆
霧散(むさん)の瀬戸際(せとぎわ)を未(いま)だ見ず
/ 还未得见云消雾散之际
辛(かろ)うじて留(と)める
/ 勉强绻留
形を繋ぐ敢(あ)え無い魔法は
/ 相连於形 脆弱的魔法
掛け替えの無い命の影
/ 无可替代的生命残影
動かぬその右手(みぎて)にはクチナシの花束(はなたば)を
/ 静止动作的右手 将栀子花束
地に返る魂に捧ぐ餞(はなむけ)
/ 献於重返大地的魂魄为饯
残された世界には縁(ふち)なしの絶望と
/ 残留下的世界余下 无边绝望与
願わくば暫(しばら)くの永遠を
/ 但求即逝的永恒