「駆涙」日輪駆ける
光の中で
落涙したのは、
いつかの
憧憬に見た柔らかなその声。
その顔。
「恋郁」行き摺りに舞う
あの言の葉が、
鳴り止まぬ程に
愛しい。
馥郁たる安らかな暖かさ
恋し国で。
「春海」春雪の様な海飛沫が、
砕ける波に鍔迫り舞う。
「葵夜」夜の明ける静寂に滴って、
芽吹いた葵に心寄せた。
「新陽」陽に透けるこの血潮の色、
新たな命を紡ぐ為に。
「始隼」始まりを告げる冥衆の隼が
時代を攫って行くーー
「ALL」ーー君よ。儚いその笑顔。
僕の為に咲いて欲しい。
命散りゆけども、
僕が君を守ろう。
ーー君よ。儚いその笑顔。
僕の為に咲いて欲しい。
いつか朽ち果てる日まで、
共に生き続けよう。
ーー夢見草。
「始隼」息絶え絶えの
か弱さに今、
より添っていたい。
せめての
優しさになる様に
と願い乍ら、
きつく抱いた。
「新陽」温もりは残酷さに負け、
降りしきる雨に濡れてしまう。
「葵夜」曠野の遠く喘ぐ声が、
耳に焼き付いて離れない。
「春海」それでも、鍔迫り合いは続く。
紅く咲く彼岸の華が散る。
「恋郁」大切な日々が走馬灯の様に
「駆涙」駆け巡る最中、
「恋郁」目の前の君が
消えていく様な気がしたーー
「ALL」ーー願う。幸せへと向かう
君を、日々を、この世界を。
闇の先へと、
光溢れる場所へ。
ーー今は。振り向かずに生きよう。
いくら辛く痛けれども。
ーーいつか、何もかもが
終わるはずだろう。
ーー君よ。儚いその笑顔。
僕の為に咲いて欲しい。
命散りゆけども、
僕が君を守ろう。
ーー君よ。儚いその笑顔。
僕の為に咲いて欲しい。
いつか朽ち果てる日まで
咲き誇って欲しい、
君だけは。
僕らの歴史を
語り継ぐ、
その華の名前は
「夢見草」ーー