それは、君が16歳の誕生日を迎えた朝の話。
可愛い幼馴染が枕元に来て起こしてくれるわけもなく、
別に王様に呼ばれて世界を救う旅に出るわけもなく、
君は今日もいつもどおりに、高校にくるのだった。
仕様です 仕様です
君がモテないのは全部仕様です 仕様です
たいへんお気の毒です
今日も君は教室の隅の席に座った。
私は、その隣で今日も君を観察するのだ。
学生服に身を包んでさ
勉強スキルをただ伸ばしてさ
誰とも話さず一人でいてさ
弁当一人でいつも食べてさ
君のパーティはどこにいるのさ
君のレベルは今いくつなのさ
荒野にたたずむ孤独の君さ
そんな君が気になる私なのさ
仕様です 仕様です
君が一人なのは仕様です
仕様です 少し気になるんです
いったい君は何者なのさ
そもそもどこからやってきたのさ
どこからともなく現れたのさ
なにも喋らずに消え去ったのさ
君は誰からも狙われないさ
私も遠目に見るだけなのさ
たまに君は私を見るけどさ
私の気持ちは伝わらないさ
仕様です 仕様です
君が鈍感なのは仕様です
仕様です だけど諦めないです
今日も君を観察して、一日が終わった。
私は少しだけ、君をわかった気になった。
仕様です 仕様です
君がモテないのは全部仕様です
仕様です たいへんお気の毒です
わかってます わかってます
本当の気持ちは全部わかってます
わかってます 私がお気の毒です
どうして君は気付かないのさ
ぐいぐいどんどん前に出るのさ
私はもう自重はしないのさ
意地でも振り向かせて見せるのさ
私の気持ちは止められないさ
全部君に受け止めてもらうさ
お気の毒ですがすべて仕様です
私は君の バグなのさ