路地裏の少年
真夜中の校舎の白い壁に
訣別の詩刻み迂んだ
朝燒けのホームに
あいつの顏探したけど淚で見えず
“旅に出ます”書き置き機の上
ハーモニカポケットに少しの小錢
さよならの意味さえも知らないで
譯もなく碎けては手のひらから落ちた
あれはおれ16
遠い空を憧れてた路地裡で
アルバイト電車で横浜まで歸る頃は午前0時
古ぼけたフォークギター
窗にもたれ覺えたての“風に吹かれて”
狹い部屋で仲間と夢描いた
いつかはこの國目を覺すと
里切りの意味さえも知らないで
譯もなく碎けては手のひらから落ちた
あれはおれ18
肩すぼめて待ち續けた路地裡で
赤茶けた工場の高い壁に
倒れかけた歸り道
家を出て初めて故鄉の母に
“元氣です”と書いた手紙
戀に落ちて戶惑う熱の中で
いつしか二人で過ごす夜每に
やさしさの意味さえも知らないで
譯もなく碎けては手のひらから落ちた
あれはおれ21
細い肩を抱きしめてた路地裡で
口づさめば悲しい歌ばかり
屆かぬ想いに胸を痛めて
今日もまた呼ぶ聲に應えては
譯もなく碎かれて手のひらから落ちて
今はおれ22
初めて知る行き止まりの路地裡で