ひぐらし
古い校舎がなくなると聞いて
迷わず返事を出した ひさしぶりのクラス會
少し早めに 集まった仲間と
なつかしい通学道路 ゆっくり歩いた
ニ人乗りで帰るたび 胸の鼓動がつらかった
恋していると気づいても 最後まで言えなかった
ひぐらしの鳴き声が 聞こえてくる教室
くすぶる思いも大人になって こんなにも笑えるの
“あれからどうしていたの?”昔と同じ右隣り
日に焼けたあなたの腕が まぶしげに前をゆく
記念写真のときも 二人きりになっても
少し離れてる二人の間 思い出じゃ埋まらない
ひぐらしの鳴き声が 聞こえてくる教室
つんとこみあげる瞳の向こう 変わらないブナの森
…変わらないブナの森