神曲
下らない日々を追い越して
柔らかい午後とキミの笑顔で
唐突にかかる赫の魔法に
ボクの理性が崩れてく
憂鬱な日々を抜け出して
眠らない星とキミの呪文(言葉)で
夜空に放つ蒼の魔法は
ボクの悪意を誘う
「知らない世界を見せてよ」
「二度と此処に戻れないよ?」
「キミがいるならそれでも」
「それじゃ息を止めて…」
最低なボクは墮天をなぞる
敬虔に咲く薔薇を摘んで
觸れた棘から歪な愛が流れてく
放縦に塗れ佇んでいた
引き返せないドアに觸れる
そんな罪を抱えたままでいたいだけ
何も無い日々を駆け抜けて
寄る辺ない二人聲を重ねて
遊星を包む皓の魔法は
吝嗇なボクを照らす
「ねぇアンダルシア南の島の
最果てに何があるの?」
「バイレを跳ねたらイビサの海で
悪戯に泡を飲むの」
「墮ちゆく世界を見せてよ」
「二度と元に戻れないよ?」
「キミがいるからそれでも」
二人瞳閉じる…
最愛のキミが墮天をなぞる
生まれたままの肌に觸れて
咲いた傷から空虛な愛が溢れてく
泥濘の先に閉ざされていた
一度潛ったドアを開ける
そんな罪を重ねたままでいたいだけ
「もう日が暮れるね」
「…大丈夫」
握る手を強めた
出口の無い森の中
二人の火が消える
最悪な二人墮天をなぞる
絡まる闇に足を取られ
繋ぐ指から穢れた愛が侵してく
冥界の淵で凍てついていた
二度と開かないドアを潛る
こんな罪を抱えたままで魔法が解ける
嗚呼