頑是ない歌

思えば遠く來たもんだ
驀然回首燈火闌珊
十二の冬のあの夕べ
十二時年茫茫冬夜
港の空に鳴り響いた
迴盪在港口上空的
汽笛の湯気は今いずこ
汽笛裊裊今在何處
雲の間に月はいて
雲流月隱
それな汽笛を耳にすると
笛聲繞耳
竦然として身をすくめ
悚然噤身
月はその時空にいた
彼時明月皓鏡當空
それから何年経ったことか
一去經年
汽笛の湯気を茫然と
汽笛茫茫
眼で追いかなしくなっていた
飄然而逝
あの頃の俺はいまいずこ
當時少年現居何方
今では女房子供持ち
如今已是嬌妻愛子
思えば遠く來たもんだ
回首闌珊
此の先まだまだ何時までか
生而為人
生きてゆくのであろうけど
來日方長
生きてゆくのであろうけど
來日方長
遠く経て來た日や夜の
日夜遠至
あんまりこんなにこいしゅうては
可愛可憐
なんだか自信が持てないよ
莫名地消沉
さりとて生きてゆく限り
人生在世
結局我（が）ン張（ば）る僕の性質（さが）
難逃勞碌
と思えばなんだか我ながら
自忖如此
いたわしいよなものですよ
便胸懷隱痛
考えてみればそれはまあ
一如我思
結局我ン張るのだとして
此世終需一搏
昔戀しい時もありそして
往昔尚可憶
どうにかやってはゆくのでしょう
未來何從去
考えてみれば簡単だ
稍作考慮其實不難
畢竟意志の問題だ
畢竟意志問題
なんとかやるより仕方もない
除了堅持別無他法
やりさえすればよいのだと
無論如何我想放手去做
思うけれどもそれもそれ
但也不過是想想
十二の冬のあの夕べ
十二歲的冬夜
港の空に鳴り響いた
盤踞港口上空的
汽笛の湯気や今いずこ
茫茫汽笛如今在何方