夢見る君へ
夕暮れ時
作業を終わらせて
顔を上げると
隣の椅子で眠る
君の姿が目に入った
机には
私のパズルを解いていた痕跡
よほど待ちくたびれてしまったのだろうか
あの日
君の心を完全に把握することはできないと知った
現存するどんな問題よりも難しいと
そもそも
私自身の心すら
はかりきれていないのだから
すぐに起こしてしまうのも勿体ない気がして
私は
自分のコートを君の肩にかける
その時
指が
ほんの少しだけ
君の体に触れた
小さい背中
細い肩
柔らかい髪
私は君を
心の底から
守りたいと思っている
無防備な寝顔だ
君は今
どんな夢を見ているのだろうか
願わくば
そこに私が登場していたらと思ったのだが
それも何だか気恥ずかしい
夢の中の私が
君に何をするかまでは
計算できないのだから
そうだな
こうして見守っている程度で
勘弁してもらおう
君が夢から覚めても
笑みを絶やさないように
この幸せが
ずっと
続くように