人間失格
人間失格
人間失格
太宰治
作者:太宰治
人間、失格。
人間,失格。
我已喪失了做人的資格。
もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。
我已徹底變得不是一個人了。
ここへ來たのは初夏の頃で、鉄の格子の窓から病院の庭の小さい池に紅い睡蓮の花が咲いているのが見えましたが、
來到這兒時,還是在初夏時節。從鑲有鐵格子的窗戶向外望去,能看見庭院內的小小池塘里盛開的紅色睡蓮花,
それから三つき経ち、庭にコスモスが咲きはじめ、思いがけなく故郷の長兄が、ヒラメを連れて自分を引き取りにやって來て、
又是三個月過去了,庭院裡開始綻放出波斯菊花了。這時,意想不到的事情發生了:老家的大哥帶著“比目魚”前來接我出院了。
父が先月末に胃潰瘍(いかいよう)でなくなったこと、自分たちはもうお前の過去は問わぬ、生活の心配もかけないつもり、
大哥說道:“父親在上個月的月末因患胃潰瘍去世了。我們對你既往不咎,也不想讓你為生活操心費神,你什麼都不用做。
何もしなくていい、その代り、いろいろ未練もあるだろうがすぐに東京から離れて、田舎で療養生活をはじめてくれ、
不過,有一個前提條件,儘管你肯定是依依不捨的,但必須離開東京,回老家去過一種療養生活。
お前が東京でしでかした事の後仕末は、だいたい渋田がやってくれた筈だから、それは気にしないでいい、
你在東京所闖下的禍,澀田先生已大體幫你了解了,你不必記掛在心。”
とれいの生真面目な緊張したような口調で言うのでした。
用他慣有的那種一本正經而又不失緊張的語氣。
驀然間故鄉的山水栩栩如生地浮現在我的眼前,我輕輕地點了點頭。
故郷の山河が眼前に見えるような気がして來て、自分は幽かにうなずきました。
我已完全變成了一個廢人。得知父親病故後,我越髮變得委靡頹廢了。
まさに癈人。 父が死んだ事を知ってから、自分はいよいよ腑抜けたようになりました。
父親已經去了。父親作為片刻也不曾離開我心際的、一種可親又可怕的存在,已經消失而去了,我覺得自己那收容苦惱的器皿也陡然變得空空蕩蕩的。
父が、もういない、自分の胸中から一刻も離れなかったあの懐しくおそろしい存在が、もういない、自分の苦悩の壺がからっぽになったような気がしました。
我甚至覺得,自己那苦惱的器皿之所以曾經那麼沉重,也完全是因為父親的緣故。
自分の苦悩の壺がやけに重かったのも、あの父のせいだったのではなかろうかとさえ思われました。
於是我頃刻之間變成了一隻洩了氣的皮球,甚至喪失了苦惱的能力。
まるで、張合いが抜けました。苦悩する能力をさえ失いました。
對於我來說,如今已經不再存在著什麼幸福與不幸福了。
只是一切都將過去。
いまは自分には、幸福も不幸もありません。 ただ、一さいは過ぎて行きます。
在迄今為止我一直痛苦不堪地生活過來的這個所謂“人”的世界裡,唯一可以視為真理的東西,就只有這一樣。
自分がいままで阿鼻叫喚で生きて來た所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。
今年我才剛滿二十七歲。
ただ、一さいは過ぎて行きます。 自分今年、二十七になります。
因為白髮明顯增多的緣故,人們大都認為我已經四十有餘了。
白髪がめっきりふえたので、たいていの人から、四十以上に見られます。