ほけがそこかしこに浮かんだ。
二年ぶりの光景だ。そんなにか。
もうそんなに経つんだなぁ。
「あったか〜い」って文字だけで
なんか買いたくなる話。
なんか、わかるよ。
僕ら、「なんか」ばっかりだ。
コフレが飾った店頭。
餘計に灰色に見える線路。
覚えようとしなくても、
おぼわるよ。
冬が寒くてよかった、
なんて思ったこともないけど
君が歌うんだ。
あやふやな歌詞に誘い笑いが
止まらないや。だから、
寒くていいんだ。まちがいないや。
あぁ、その日は祝日だっけ。
おっけー。空けておくよ。
無糖と微糖の間の味が
ほしいなんて、よくもまあ、
次から次へそんな。
なんか、羨ましいよ。
「あったか〜い」って文字だけで
なんか買いたくなる話の
続きの続きを。
ううん、楽しいよ。
デコルテの浮いた血管。
お気に入りだね、
ミント色マフラー。
覚えようとしなくても、
おぼわるよ。
「冬に生まれてよかった」
なんて生まれてもいないくせに
君が笑うんだ。
そのあとの真顔に
耐えられないんだ。ずるいんだ。
もうさ、なんでもいいや。
炭水化物を抜いたり、
炭酸水で野菜を煮たり、
続いた試しがない試み。
悲喜交々の人生。
僕がもってるものは
全部あげるから。
手の內を見せあって死のうぜ。
觸れるほどじゃない方言。
不機嫌な時だけつく句読點。
つけすぎのリップマスク。
朝にはとれているナイトキャップ。
コフレが入ったショッパー。
寒風に靡くツイルのマフラー。
覚えようとしなくても、
おぼわるよ。
そういう人になりたいんだ。
冬が寒くてよかった、
なんて思ったことはないけど
踵が浮くんだ。この歌も
そうなっていけばいいんだ。
君にとってさ。
寒くていいや。悪くないよ。
なんか幸せだって。
僕ら、「なんか」ばっかりだ。
うん、その日は祝日だよね。
うん、空けてあるよ。